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★[Clip]淀川長治の映画解説

● 私は淀川長治さんと握手したことがあります。

亡くなられる数年前、有楽町マリオンで行われた講演会でのことでした。

七三に分けられた白髪、実直な黒縁メガネ。

テレビと同じ、あの口調。

でも想像よりずっと小柄な方で驚きました。

講演の後、ファンが差し出す手に、ステージの端から懸命に手を延ばし、応えてくれました。


日本映画解説の先駆者、淀川長治(よどがわながはる)は明治42年生まれ。

生家は神戸でも有名な芸者の置き屋でした。

親や芸子(げいこ)に連れられ見る活動写真、それが淀川少年の大のお気に入り。

好きが高じて映画の宣伝マンから、雑誌編集長、そして解説者に。

《 ララミー牧場 》で注目を浴び、亡くなる直前まで解説を続けた《 日曜洋画劇場 》では「さよなら、さよなら、さよなら」という流行語を生みました。

生涯独身。

綺麗な人を見過ぎたのかもしれません。


● 私が淀川さんを凄いと思ったのは小学校の頃。

毎週月曜、夜8時から放送されていたラジオの解説番組でした。

ラジオで映画の解説をする、それ自体凄いのに、毎週、それも一時間番組です。

でもこれが面白い。

解説されている映画を観るよりも、淀川さんの解説を聞く方が面白いのだから凄い凄い。

(^.^)


特にチャップリン映画の解説の時は、時代背景やこぼれ話、チャップリンに会った時の様子などが、興奮気味に語られ、目が離せないならぬ、耳が離せぬ状態に。

《 街の灯 》のエンディング。少女が「あなたなの…」と気が付いて、その後を見せない歯痒さ。

《 黄金狂時代 》の絶壁の山小屋でのドタバタとパンのダンスシーン。

《 独裁者 》での最後の演説、最後に呼ぶ女性の名の意味。

チャップリン映画を観ていない七人少年は、その解説でストーリー自体を知ったので、なおさらでした。


● 映画、それはわざわざ作られた世界。

何げなく見る一つのシーンは、たくさんの時間とお金をかけ準備、多くのスタッフ・キャストを動員して撮影、編集のハサミをかいくぐり最後まで残ったものです。

それに気付かせてくれたのも淀川さん。

《 続・激突!カージャック 》の解説ででした。

《 続・激突~ 》はスピルバーグの初期の名作《 激突 》の続編。

裁判所に養育権を取り上げられた夫婦がパトカーを奪い、子供を取り戻しに向かうというもの。

解説をすると聞き、まず思ったのは《 なぜ、本編でなく続編の解説なんだ 》ということ。

既に両方とも見ていた私は子供心に不思議に思いました。

なにしろ面白さが違います。

でも淀川さんは解説します。

「これが巧かったぁ~」「ここが凄かったぁ~」。


両親がパトカーを奪って、こちらに向っている。

それを聞いた里親が赤ん坊を連れて逃げ出すシーン。

そこを褒めたたえたのでした。

里親は赤ん坊を抱え逃げようとする時に、花瓶も一緒に持ち出します。

彼女が花瓶を持つことで、赤ん坊をあまり大切に思っていないことがわかるというのです。

この指摘には驚き。

気にも留めなかったワンシーンには、わざわざ観せるだけの意味があったのです。

自分は今までそんなシーンに一体どれだけ気づいていたのか…。


● 講演会の中で、淀川さんはこうも言っていました。

「つまらないと思ったら、その映画をもう一度見て下さい。きっと初めは気が付かなかった、その映画の良さに気が付きますよ」

なんて愛情溢れる言葉でしょう。

私も映画好き。生意気にも評価点(★☆)までつけて感想を書いています。

淀川さんの解説にはネタ、文章ともにとても及びませんが、せめて映画に対する愛情や、作り手に対する敬意を忘れないよう心掛けたいと思っています。





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